この記事ではテーブルトップのマジック:ザ・ギャザリング(MTG)で現在高騰中の《黙示録、シェオルドレッド》について考察していきたいと思います。
この記事の目次
カードテキスト
《黙示録、シェオルドレッド》は「団結のドミナリア」に収録された神話レアのクリーチャーです。
《黙示録、シェオルドレッド》は4マナ4/5接死という高いスタッツを持っており、サイズとしては十分です。
加えて、カードを1枚引くたびにライフゲインする能力と対戦相手がカードを1枚引くたびにライフルーズさせるふたつの能力を持っています。
価格の推移
《黙示録、シェオルドレッド》のシングル価格は発売当初は3000円~4000円の間で推移していましたが、9月1週目の大会で結果を残したことから高騰を始め7000円台となり、9月末現在では8000円を超える高額カードとなっています。
価格の面でみると今回の高騰で、「団結のドミナリア」では《ヴェールのリリアナ》を越えるトップレアとなりました。
高騰の理由
《黙示録、シェオルドレッド》が高騰している理由は特にスタンダードでの高い需要によるものだと考えられます。現在のスタンダードでは黒を含むミッドレンジが環境を席巻している状況です。黒を使うデッキであればどんなデッキでも採用の可能性があります。また、次のスタンダードのローテーションまで期間があるのも、現在の需要が高まっている要素のひとつです。
スタンダードで使われているデッキは下記のようなものがあります。
- 黒単ミッドレンジ
- ラクドスミッドレンジ
- オルゾフミッドレンジ
- グリクシスミッドレンジ
- エスパーミッドレンジ
- ジャンドミッドレンジ
他のフォーマットでは、パイオニアのラクドスミッドレンジ、レガシーのDoomsdayに《黙示録、シェオルドレッド》の姿を見ることができます。
もちろん《黙示録、シェオルドレッド》が強力な能力を持っている前提ですが、需要と供給が合っていないため高騰しています。
直近の需要としてはチャンピオンズカップ予選のサイクル2がスタンダードも採用していることがあるでしょう。
プレインズウォーカー・チャンピオンシップ(PWCS)もありますが、シールドで開催されるところが多いそうです。PWCSのフォーマットはスタンダードまたはシールドとなっています。
PWCSの優勝賞品は二見敬之氏による《放浪皇》となっており、某所では販売価格が120,000円にもなっています。優勝商品が非常に高額なイベントなので参加者も増えることになるでしょう。
《黙示録、シェオルドレッド》はなぜ強いのか
前項でも上げていますが、スタンダードでは黒絡みのミッドレンジデッキが環境に多数存在している状況です。それによって、《黙示録、シェオルドレッド》の需要が高まっています。
《黙示録、シェオルドレッド》はライフゲイン&ライフルーズができることから、アグロデッキやミッドレンジデッキのマナカーブのトップとして適したカードになっています。コントロールデッキに採用しても除去耐性がないので除去のいい的になるだけでしょう。
1.スタッツ
スタッツの面でみると、4マナ4/5接死と非常に大型です。ライフゲイン能力と合わせてもブロッカー性能は屈指のものになっています。除去できないのであれば、相手のライフを先に削って倒すしかありません。
現環境でいうと、《しつこい負け犬》、《税血の収穫者》、《死体鑑定士》などパワー4以下のクリーチャーがほとんどを占めています。そのため、地上から《黙示録、シェオルドレッド》を突破するのは困難です。ダメージレースをするには何かしらの回避能力が欲しいところですが、低マナ域で回避能力を持つ優秀なクリーチャーがいないことが《黙示録、シェオルドレッド》の評価を上げるひとつの要素になっていると考察できます。
2.ライフゲイン:ドローとのシナジー
ミッドレンジ同士のマッチアップではライフレースになることも多く、《黙示録、シェオルドレッド》のライフゲイン能力も重要になります。ドローすることができるカードと相性がよくなっています。ただし、ドローする能力は対戦相手に《黙示録、シェオルドレッド》を出されるとデメリットとなり、逆にかなり損害が多くなります。
シナジーのあるドローができるカードとしては下記のようなものがあります。
- 《しつこい負け犬/Tenacious Underdog》
- 《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》
- 《漆月魁渡/Kaito Shizuki》
- 《策謀の予見者、ラフィーン/Raffine, Scheming Seer》
- 《穢れたもの、ソルカナー/Sol'kanar the Tainted》
- 血・トークンを生成できるカード
3.ライフルーズ:多様なライフルーズ手段
現在のスタンダードでは使う側、使われる側の両方において、コンバット以外でライフを失う呪文がかなり多くなっています。これによってライフが少ない状況になりやすく、《黙示録、シェオルドレッド》でライフを詰めることが容易な状況になりやすいです。ライフが少なくなりやすいことで相対的に《黙示録、シェオルドレッド》のライフルーズが強力になっています。
ライフルーズする要員としては下記のようなものがあります。
- 《しつこい負け犬/Tenacious Underdog》の奇襲コスト
- 《冥府の掌握/Infernal Grasp》
- ペインランド(ダメラン)の起動
- 《墓地の侵入者/Graveyard Trespasser》
- 《絶望招来/Invoke Despair》
- 《食肉鉤虐殺事件/The Meathook Massacre》
4.カードプール①:競合の少なさ
現在のスタンダードのカードプールはローテーション直後なのでそこまで広くなく、プレイアブルな4マナのカードは限られたものになります。競合するのは黒単ミッドレンジであれば《不笑のソリン/Sorin the Mirthless》、エスパーであれば《放浪皇/The Wandering Emperor》くらいのものです。そのため、黒系ミッドレンジデッキではすんなり4マナ域に収まることになります。
《不笑のソリン》、《放浪皇》は伝説なので採用枚数が限られることも《黙示録、シェオルドレッド》が採用されやすくなる要素です。
5.カードプール②:現環境の除去の弱さ
現在のスタンダード環境ではクリーチャー同士のコンバットで《黙示録、シェオルドレッド》を突破することは困難です。そうであれば、《黙示録、シェオルドレッド》を直接除去することが重要になってきます。しかしながら、現スタンダード環境には汎用的な除去が非常に少ないです。また、タフネスが5あるため火力で落とすことも難しいです。
汎用的な除去としてはライフルーズのある《冥府の掌握/Infernal Grasp》か、やや重い《魂転移/Soul Transfer》、デメリット付きの《運命的不在/Fateful Absence》が挙げられます。《電圧のうねり/Voltage Surge》、《切り崩し/Cut Down》では除去ができません。複数デッキに採用し辛い除去が多いので《黙示録、シェオルドレッド》を除去するのも容易ではないカードプールだと考えられます。
6.カードプール③:除去必須のクリーチャーの増加
現在の環境に限らず、近年のクリーチャーのカードパワーは高くなっている傾向にあります。そのため、除去しておかなければ不利な状況になるクリーチャー、マスト除去のクリーチャーが多くなっています。そのため、《黙示録、シェオルドレッド》が出てくるまでに除去を使ってしまうことも少なくありません。このような環境要因も《黙示録、シェオルドレッド》を相対的に強くさせていると考えられます。
代表的なクリーチャーとしては《策謀の予見者、ラフィーン/Raffine, Scheming Seer》や、《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》などが挙げられます。
まとめ
この記事では現在高騰中の《黙示録、シェオルドレッド》を紹介しました。かなり強いカードなのは分かっていましたが、ここまで高騰するのは予想外のカードでした。
今回は多様な目線で《黙示録、シェオルドレッド》を考察してみたので、みなさんの視点と違う点があったのであれば嬉しいです。今回のように考察したことで強いカードを見分ける目を養っていければいいなと思います。