この記事はMTGアリーナにて2023年6月に行われる予選プレイイン、予選ウィークエンドに向けた「ヒストリック」環境とその調整の記録です。
この記事の目次
ヒストリック環境
まずは現在の「ヒストリック」がどのような環境になっていてどんなデッキが強いかを調べてみました。
しかしながら、「ヒストリック」は大型大会がほとんど開催されていないことからデッキの研究速度が他のフォーマットに比べてやや遅い傾向にあります。
MTGアリーナ内ではカードプールが最多ということもあり、少しの変更・追加には揺るがない多様な環境とも言い換えることができます。
大型大会としては2023年3月18日と19日で行われた、「アリーナ・チャンピオンシップ2」があります。
公式記事はこちら。
デッキリストはこちら。
現在のヒストリック環境はここで活躍したデッキに加えて、2023年4月18日に実装された「機械兵団の進軍」、2023年5月9日に実装された「機械兵団の進軍:決戦の後に」のカードを新しく入れたアーキタイプがメインになっています。加えて、2023年4月4日に、アルケミーにおいてカードの再調整が行われています。
メタゲームはBo1とBo3で大きく異なっているのは面白い点です。
以下の表はBo3を念頭に置いています。
表 ヒストリックBo3Tierリスト
Tier1 |
ラクドスミッドレンジ、ジャンドミッドレンジ、ケシスコンボ、アゾリウス親和 |
Tier2 |
緑単信心、イゼットウィザード、アゾリウスコントロール、マルドゥリアニ、人間、ラクドスゴブリン、オーラ |
Tier3 |
イゼット独創力、ハンマータイム、ボロスソプター、5Cニヴ、イゼットフェニックス |
Tier4 |
マーフォーク、エルフ、忍者、ベルチャー、ヘリオッドカンパニー、ドラゴンストーム、エスパー脂牙、マルドゥ脂牙 |
Tierリストが完全に合っている訳ではなく、あくまで私の体感ですので注意してください。
ヒストリックで強いデッキの条件
前段として、ヒストリックで強いデッキというのはエクスプローラーのデッキより強いことが求められます。
どのようなカードが採用されれば、エクスプローラーのデッキより強いデッキにすることができるでしょうか考えてみました。
これにはヒストリックでは使えるが、エクスプローラーでは使えないカードというのが鍵になります。
- エクスプローラーのフォーマット外のカード
→下環境で使えるカード、ヒストリックホライゾンのカードなど - MTGアリーナのオリジナルカード
→アルケミーのカード全般
これら2種類はエクスプローラーと差別化する上で必須になります。エクスプローラーのデッキではヒストリックのデッキに不利が付くのが普通です。
デッキ構築の際はこれを意識します。
表 エクスプローラーとの比較
デッキ名 | ヒストリックカード | アルケミーカード |
ラクドスミッドレンジ | 〇 | 〇 |
ジャンドミッドレンジ | △ | ◎ |
アゾリウス親和 | ◎ | △ |
ケシスコンボ | 〇 | △ |
緑単信心 | △ | × |
イゼットウィザード | 〇 | 〇 |
アゾリウスコントロール | △ | 〇 |
※メインボードにおいて、◎は9枚以上、〇は5枚以上、△は4枚以下、×は無し。
※ヒストリックカードとはエクスプローラーで使えないヒストリック範囲のカードのこと
上記の表は「◎>〇>△>×」という評価の順番になっています。Tierが高いデッキの多くは評点が高いことが分かります。広いカードプールを有効活用しているということがよく分かると思います。
デッキ製作と没デッキ紹介
前提として、私自身のプレイングスキルが高くないという自覚があるため、対戦相手と同じデッキを使っていては高い勝率が期待できないと考えています。
そこで、勝率が出せるオリジナルのデッキを握ることで勝率を出すという方向を模索してみます。
しかし、強いデッキを生み出すというのは容易ではなく、新しいデッキを作ろうとすることで、様々なネタデッキに近い弱いデッキを生み出すこととなります。
以下には没デッキ達を紹介します。
NeoAffinity(新生化親和)
7マナの親和持ちクリーチャーを《新生化/Neoform》を通して、《孔蹄のビヒモス/Craterhoof Behemoth》、《グリセルブランド/Griselbrand》に変えることでフィニッシュするデッキです。
基本的には親和デッキなのでデッキの強度はある程度保証されている点はメリットです。
不利盤面になっても2枚の8マナクリーチャーで捲れる目が残されているので戦いやすいです。
アーティファクト・土地を多数採用しているので《神聖な粛清/Divine Purge》で全てを失うのがデッキの最大の弱点。
ゾンビコンボ
ゾンビを使った無限ループを採用したアグロ・コンボデッキ。
下記の2種類の組み合わせでループできます。
《無情な死者/Relentless Dead》+《アシュノッドの供犠台/Ashnod's Altar》
《よろめく怪異/Shambling Ghast》+《死が触れぬ者、リリアナ/Liliana, Untouched by Death》+《アシュノッドの供犠台/Ashnod's Altar》
採用しているカードの単体性能が低いためヒストリックでは通用しない結果となりました。
マルドゥコンボ
ラクドスミッドレンジにコンボを行うために白を足したマルドゥコンボデッキ。
《狂気の祭壇》と《クロクサとクノロス》のコンボで自分のライブラリーを掘り進め、《砂丘の英雄》から《悪鬼の狩人》のループへと移行し、相手をライブラリーアウトさせる戦略を取れます。
カードパワーをあまり落とさずにコンボを搭載することができるので比較的デッキ強度が高くなりました。
このループでは《狂気の祭壇》で1枚ずつしか削れないため、時間との勝負になるのが弱点。
ディスプレイサーの仔猫コンボ
《ディスプレイサーの仔猫/Displacer Kitten》を採用したコンボデッキ。《水銀の細工人/Quicksilver Lapidary》と組み合わせた無限マナ、無限ループを基本とします。
上記のように、多様な組み合わせで無限ループとなるので回していてめちゃくちゃ面白いデッキとなりました。
ただTierの上位に除去とハンデスを多数要するラクドス、ジャンドミッドレンジがいるため、コンボデッキの立ち位置が悪いのは向かい風。
デッキ選択:グリクシスミッドレンジ
個人的にミッドレンジが好きなので、デッキ製作の段階ではミッドレンジのデッキも考えていました。
ラクドスとジャンドは既存のリストが存在するのでグリクシスに狙いを定めました。
また、構築の際はヒストリックカードとアルケミーカードが多数入ることを意識しました。
グリクシスミッドレンジVer.1
MTGアリーナの構築フォーマット内ではヒストリックのみで使える《再鍛の刃、ラエリア/Laelia, the Blade Reforged》が強力なのでこのカードを軸にしてみました。
たたき台というところでミッドレンジらしく強いカードをふんだんに使っています。
ラクドスに青を足したということで、バリューランドの採用枚数が減るというデメリットがあります。メリットとしては青を使うことができるので採用できるカードプールが広がる点があります。
パイオニアやレガシーで禁止になっている《表現の反復/Expressive Iteration》が使えるというところも大きいです。これも追放効果なので《再鍛の刃、ラエリア》とシナジーがあります。
《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》もフラッシュバックを付けることで追放になるので《再鍛の刃、ラエリア》とシナジーを持っています。
《邪なる大魔導士、ターシャ/Tasha, Unholy Archmage》は尋常ではない対アグロ性能を持っているので採用しました。コントロールとのマッチでもライブラリーアウトで勝利できる場面も多いため腐らずに強力だと感じています。
グリクシスミッドレンジVer.2
《再鍛の刃、ラエリア》を軸にデッキを作ったものの後手番だと若干弱くなるので、採用枚数を2枚に絞りました。
大ぶりなデッキが好きなので《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》と《暗記+記憶/Commit+Memory》とのコンボを搭載してテストしてみました。
《記憶》で強制的に7枚ドローなので、《黙示録、シェオルドレッド》で14点のライフルーズで勝利するというコンボです。
《アズゴルへの侵攻/Invasion of Azgol》は《シェオルドレッドの勅令/Sheoldred's Edict》に変更しました。インスタントタイミングで《波の巨人、クルシアス》を倒せるというのはやはり大きいです。
《思考囲い/Thoughtseize》は重ねびくと痛くてアグロに少し弱くなるので、1枚《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》に差し替えました。
グリクシスミッドレンジVer.3
《暗記+記憶/Commit+Memory》は非常に大振りで楽しいのですが、コントロールに対して弱くなるのを対戦して分からされました。
こちらは《サメ台風/Shark Typhoon》に変更して対コントロール性能を上げてみました。
また、《瞬唱の魔道士》のバリューを上げるためにメインからカウンターとして《守秘義務/Bind to Secrecy》を採用しました。
グリクシスミッドレンジVer.4
《黙示録、シェオルドレッド》はアグロに対して強いもののほかに対して弱い点が気がかりだったため、サイドボードに落とすこととしました。
具体的にはミッドレンジ戦においては《波の巨人、クルシアス/Crucias, Titan of the Waves》からの《致命的な一押し/Fatal Push》で《黙示録、シェオルドレッド》を落とされると、先後が入れ替わるレベルで盤面を取られてしまいます。また、コントロールに対しても《放浪皇/The Wandering Emperor》が怖く、強く使うことができませんでした。
グリクシスミッドレンジVer.5
グリクシスの弱点として挙げられるのが横並び系のデッキです。回避能力を持ったクリーチャーもいないので突破力があまりないので苦手としています。具体的にはゴブリン(グルール、ラクドス)です。
そこで目を付けたのが《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》でした。《ドロスの魔神》は飛行を持っておりクロックが非常に高いので突破力があります。また、対戦相手のクリーチャーが死亡するたびに2点ルーズの能力も持っているので、横並び系のデッキにも強くなります。
このカードがデッキにジャストフィットするとともに《変態変異/Metamorphic Alteration》と合わせたコンボもあることから、私好みのデッキとなりました。
当初のコンセプトであった《再鍛の刃、ラエリア》が抜けたのでデッキは完成です。
プレイインの記録
プレイインの結果は下記の通りです。2勝1敗となり勝ち越すことができました。
アゾリウスアーティファクト 後手 〇×〇
緑単信心 後手 〇〇
ラクドスサクリファイス 先手 〇××
ラクドス系ミッドレンジには当たらなかったものの、調整途中では苦手意識のあった緑単信心にも勝つことができ上手く調整できたという感触がありました。
今回はチーム調整のような形で「パルヘリオンシュート」の練習も合わせてしていました。デッキリストについては割愛させていただきます。
調整の過程で対マルドゥリアニ、対ケシスの対面練習をしながらデッキ調整するという過程を体験でき非常に勉強になる調整となりました。
ひとりだと気づかないポイントなども違う視点から補われていくので、チーム調整だと効率が段違いになると感じました。
まとめ
この記事では2023年6月の予選ウィークエンドの種目であるヒストリックの調整記録について記事にしました。これらの反省を活かして次回の予選も頑張っていきたいと思います!